殺菌乳(パスチャライズド・ミルク)はいらない From Armchair Science, London April 1938 Japanese translation by Katsumi Yamada English original 子供には、清浄な生のミルクに変わるものはない。子供の唯一の健康基盤であるミルクに不可欠な品質を科学は殺菌乳で証明できていない。 不幸にもミルクの供給に関しては酷く歪められた説明が広く流布されている。あらゆる犠牲を払って全てのミルクを殺菌しなければならないという側の言うこと を信ずるならば、生のミルクは猫いらず(ねずみ用毒薬)と同じくらいひどい物という事になるが、農業大臣が最近言ったように「人類はパスツールを聞くより 遥か昔から存在している。」 殺菌のプロセスは、下院で議論された結果、生乳は人の消費用としては販売してはならないと勧告された。これは全ての供給業者が高価な機材をすえつけることを意味し、義務化されれば小さな農場は閉鎖せざるを得ず数社の大きな業者に事業が集中することは間違いない。 もし殺菌乳を飲まざるを得なくなったとしたら、殺菌がどういうことを意味するのかを理解する必要がある。殺菌は、二つの目的を果たすた めに行う。一つは、病気を起こす細菌を殺すこと、もう一つはミルクが酸っぱくなることを防ぐことにある。これは、ミルクを63度ー65度Cで最低30分保 持しその後6.5度C以下に下げることで達成される。 危険な細菌を殺すことは良いことには違いないが、殺菌はそれ以上に無害で有効な細菌も殺すし、ミルクを高温にすることで破壊される栄養成分もある。 酸っぱくなるについては、生の酸乳はかなり広く使われている。消化が良いので病人に与えられ、緩下作用があるし味も悪くない。殺菌してしまうと乳酸菌は死んでしまう。このミルクは、酸っぱくもならないし短時間で腐敗し有害な菌が急速に繁殖する。 子供の結核が生のミルクにある有害な細菌によって起こされるというのが、殺菌の支持者によって作り上げられ一般に広められた見解だ。多 くの研究者が無数のミルクサンプルを調べて試験し、ミルクによる病気の伝染に関する問題を何百もの動物で実験した。しかし、完全に無視された重大な事実が […]